加齢とともに緩くなる涙腺

女優、高畑充希の演技がとても好きである。
彼女の主演最新作、「同期のサクラ」が今一番面白く、毎週水曜日になるのが待ち遠しい。

今まであまり必要性を感じていなかったHDDレコーダーだったが、この作品と、「孤独のグルメ」を好きな時に何度でも楽しむことが可能となった今、本当に購入して良かったとしみじみ思っている。

今から3年前のゴールデン・ウィーク。
著しく体調が悪くなり、2か月半ほど職場を離れ自宅療養していた時期がある。

当時、開発フェーズが佳境に入っていたプロジェクトのマネジメントをしており、私が抜けることは、そのままプロジェクトが遅延することを意味していたのだが、どうにもこうにも身体が言うことを効かなくなっていた。
このまま続けていたらもっと深刻な状況になる、との主治医の判断で、後ろ髪を引かれる思いでプロジェクトを離脱したのだ。

そんな自宅療養中、ちょうど彼女が主演するNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」が放映していた。
身体を休めることが優先となった生活とはいえ、リズムが狂わないよう、なるべく早起きを心がけた。
朝は7:30にしっかりと起床し、朝食を摂りながら、見るとはなしにチャンネルを合わせ、まさに時計の代用として視聴を始めたのがきっかけだった。
最初は集中することなく見ていたのだが、そのストーリーの面白さと、彼女の見事な演技力にぐいぐい引き込まれていった。共演していた「唐沢寿明」の演技も本当に素晴らしかった。

お恥ずかしい話だが、ストーリーが進み、唐沢寿明演じる「花山 伊佐次 」が最後の時を迎える時など、涙で画面が見えなくなるくらいオイオイ泣いてしまったのだ・・・・・。
浪越徳治郎に涙腺のツボをガッツリ押され、命の泉とともに、涙の泉もコンコンと湧き出したかのようだった。

またまたお恥ずかしい話だが、彼女が出演していたNHKの歌番組を視聴する機会があった。
歌っていたのは、中島みゆきの「ホームにて」だった。
あまりに激シブな選曲に驚いたが、それよりもっと驚かされたのは彼女の半端ない歌唱力だった。
切々と歌い上げるとは、まさにこのことだと感じずにはいられなかった。
この時もまた彼女の歌声を聞きながら涙してしまった。

こうなるともう駄目である。
ちょっとした感動エピソード。ガンと闘うシングルマザーをテーマにした生命保険のTVCM。頑張ってる人へエールを送る歌。その手のありとあらゆるものに涙腺が揺さぶられるのだ。

「はじめてのおつかい」という番組がある。
1991年から不定期で放送されているバラエティ番組なのだが、若い頃は絶対に見ることはなかった。
その存在すらも知らなかったというか、意識すらしていなかったのである。
確かにかわいいだろうなぁ~と、容易に想像はできていたのだが、シリーズ化されるほど面白いのか?と内心疑っていた。
正直、子供がおつかいをする姿を見て何が面白いの?と、思っていたからだ。

・・・・・ところが。
先日、はじめてその番組を視聴した。
結果は大号泣だった。
またまた涙で画面が見えなくなるくらい泣いてしまった。
健気に頑張る子供の姿が愛おしく、無事におつかいを終えた時の満足そうな顔を見たら、これは泣かないはずがない。
この番組が不定期とはいえ、ここまでの長寿番組になるのも理解できた。

もう理屈じゃないのだ。
子供、健気、一生懸命頑張る、やり遂げる、達成感、小さな大冒険…..e.t.c.
こんなのを出されたら、世のお母さんお父さんは絶対に見てしまうだろう。
号泣必至である。

私が今までこの手の番組を見なかったのは、ひとえに子供が居なかったからではないかと思う。
残念ながら妻との間には子宝に恵まれなかった。
この先の人生で心残りがあるとすれば、はやり子供を作れなかったことかもしれない。

年齢も50を超え、どうやったって子供は諦めざるを得ないと納得した時、この手の番組が心に刺さるようになったのかもしれない。

我が子を通して感じることができる健気さ、愛おしさを、TV画面を通じて疑似体験させてもらっているのかもしれない。

今度は「孤独のグルメ」を見ながらでも泣いてしまいそうである。
あ、それは夜中に空腹に耐えかねて泣いているだけだ・・・・・。
全然違う。

 

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