大島美幸は漢の中の漢を演じきった!「福福荘の福ちゃん」を見て

土曜日と日曜日(12日~13日)にかけ、大型で強大な勢力の台風19号が関東地方を駆け抜けた。

私の住んでいる地域は避難勧告レベルが「5」になり、近くを流れる大きな2本の川も、もう少しで氾濫する寸前まで水位が上がった。
町内放送が流れ、大勢の人が最寄りの小学校や大きな建物に避難し、まんじりともしない一夜を過ごしたのだ。

しかし、日中荒れ狂っていた空も、12日の21時を過ぎたあたりに暴風圏内を過ぎたのか、雨も風も止み、驚くような静寂とともに通常の日曜日の夜が帰ってきた。
台風一過。
雲ひとつ無い夜空に青々とした大きな月が顔を出したのだ。
何事もなかったように鈴虫が鳴いているのが不思議なくらいだった。

幸い私の家は大きな被害に遭うこともなく、また、ライフラインがストップしてしまうこともなかった。

翌日、グループラインの友人から写真が送られてきた。
道路に面したガレージは中まで浸水してしまい、閉めたシャッターの半分はめくれ上がり、流れ着いたゴミで足の踏み場もない惨状と化していた。

なんともやりきれない。
今回の台風で川が氾濫しないだろうか?、床上浸水しないだろうか?、避難するなら○○小学校しか無いだろうが、あそこの体育館に避難しても、結局浸水被害からは逃れられないんじゃないか?・・・・・。
色々と思い悩みヤキモキしながら一夜を過ごしたので、すっかり疲れてしまった。
台風一過とともに体力と気力をゴッソリ持っていかれたのだ。

何もする気力が無くなってしまった時、ゆっくり連休最後の一日を過ごすには、はやりAmazonプライム・ビデオがもってこいだ。
こんな時はハートウォーミングな心温まる映画に限る!
そう決めていた私は、昼飯を食べるやいなや一本の映画を再生し始めた。

大島美幸(森三中)主演の「福福荘の福ちゃん」だ。
女性お笑いトリオ、森三中の大島美幸が頭を丸刈りにして、32歳のおっさん(私からしたら全然若者だが)を演じている。
公開当時かなり話題になったのを記憶していた。

主人公の福ちゃんこと「福田辰夫」は、北関東なまりの32歳独身男性。
十数年前に上京し、ポロアパートの「福福荘」で暮らしながら塗装職人として生計を立てている。
とても面倒見がよく誰にでも優しい。仕事場では九州から上京して間もない新人の面倒を見たり、帰宅すれば福福荘での人間関係トラブル解決に尽力する。
今どきでは珍しい、面倒見の良い心優しい男なのである。

そんな福ちゃんも、どういうワケか女性は苦手。
シャイとか女性が苦手というより、女性恐怖症なのだ。
その福ちゃんが、様々なトラブルに巻き込まれながらも徐々に女性に対して心を開いていく。
女性に対して素直になり始めていく。

あまり書いてしまうとネタバレになってしまうので、詳細を知りたい方はぜひ映画をご覧になっていただきたい。
女性に対して心に闇を抱えている福ちゃんが、どうやってハッピーになっていくのか?
その心の闇がどのようにして生まれたのか?
ちょっと出来すぎなところもあるのだが、それでも楽しめると思う。

とにかく大島美幸の演技が素晴らしかった。
どこからみても、肌のきれいな32才のおっさんにしか見えない。
北関東なまりの朴訥としたセリフ回しも上手い!と思ったら、彼女自身が栃木県大田原市の出身なのだそうだ。

純情で朴訥、不器用で女性に対して心の闇をもつ主人公を大島美幸が好演している。
まさに大島美幸が漢の中の漢を演じきった感があるのだ。

秋の夜長にゆっくりと楽しんでいただきたい一本である。

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