復旧、その驚きの速さ
2019年9月5日(水)11時40分。
神奈川新町第一踏切で発生した快速列車と大型トラックの衝突事故。
昼夜を問わず行われた復旧作業により、現在は通常運行に戻ったのである。
このような事故や災害時における、日本のインフラ復旧作業のスピードは目を見張るものがある。
今回の事故、復旧までたったの3日である。
トラックは横転・炎上し荷物は散乱。一方の京急先頭車両は脱線し、大きく傾いてしまっていた。
これにより倒壊した線路の鉄柱が大正11年製(97年前)だったのも驚きだったが、とにかく復旧が早かった。
鉄道ファンや沿線近隣住民からは、京急は「なかなか止まらない電車」として有名だったのだ。
台風被害に逢い、鉄道各社が運休を余儀なくされた時なども、京急だけは終電まで走り続け、ネットでは大きな話題を集めた。
京急の遅延トラブルが少ない理由として、日本経済新聞(電子版)はこう伝えている。
台風上陸時、京急社内では「都営地下鉄に迷惑をかけるな!」の掛け声のもと、都営浅草線に乗り入れない電車を運休とすることで、ダイヤの乱れを最小限にとどめた。
日本経済新聞(電子版)2016年11月11日記事より要約
また、わざわざ手間のかかる運行管理業務において、あえて人の手作業を残したことがトラブルに強い理由なのだと。
(トラブル時に人間なら臨機応変な対応が可能だからだ)
京浜急行の底力を見た気がしたのである。
今回の事故で被害にあわれた方々には、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い回復を心からお祈りしています。
トラックドライバーの年齢
今回の事故の経緯、詳細情報についてはニュースをご参照いただきたい。
そちらの方が正確な情報を得られるはずだ。
今回、私が気になったのがトラックドライバーの年齢だ。
67歳だったという。
安部政権により、企業の継続雇用年齢を70歳まで引き上げる方針が出されたのは記憶に新しい。
「そんな年齢まで身体うごかねぇ!」
「死ぬ間際まで働かなきゃならんのか?」
「いい加減にしろ!」
と、アラフィフの私は思わずにはいられなかった。
だが、今回の事故の当事者であるドライバーの年齢は、70歳にわずか3年足らないだけだ。
だからといって、高齢でも頑張っているドライバーを否定するつもりは全くない。
むしろその年齢まで現役で頑張っている姿に驚嘆するばかりだ。
健康寿命と就労寿命
日常的・継続的な医療や介護に依存せず、自分で健康的かつ自立した生活ができる生存期間を「健康寿命」と呼ぶ。
ベッドに縛り付けられ、身内に迷惑をかけて生き長らえるより、ずっと健康で有意義な人生を過ごせるようにしましょうという、理想的な人生のエンディング期間だ。
誰でも望むが、誰でも手に入れられるものではない。
これと同様に、会社の同僚や組織に迷惑をかけず、かつ健康的に仕事を続けられる期間を「就労寿命」と呼べないだろうか?
誰だって年を取る。
加齢によるパフォーマンスの低下はどうしようもないではないか。
こればっかりは誰も避けて通ることは出来ない。
人手不足であえいでいる業種に対しては、どうしても高齢者が就労するような図式が出来上がっている。
高齢者の就業は難しいのだ。
人生の終盤ぎりぎりまで働かなければならないのなら、もっと高齢者が安心して働ける環境を整えられないだろうか?
楽な仕事をしたいと言っているのではない。
高齢者が安心して、心身に無理なく働ける環境を整備してほしいと強く思うのだ。
自分も50歳を過ぎている。
高齢者と呼ばれるまでのカウントダウンは始まっている。
同じ働くなら、安心して一生懸命頑張れる場所や環境が欲しいと思うのはわがままだろうか?
今回の事件で、そんなことを考えた。