禁断の書
手を出してはダメだとわかっているのに、ついつい手を出してしまう禁断の書がある。
人生で与えられた時間は有限で、Kindle Unlimitedに与えられた猶予も三ヶ月間だ。
優先順位をしっかりと見極め、時間という資源を有効に配分しないと、やりたいことも出来ずにアッという間に今際の際を迎えてしまうのだ。
私が禁断の書として慎重に吟味し手にするものといえば・・・・・。
ズバリ、中山七里先生の著書なのである。
ご存じの方も多いので細かいプロフィールは割愛するが、中山七里先生は第8回「このミステリーがすごい大賞」(このネーミングもすごいけど)で「さよならドビュッシー」で大賞を受賞。
そこから数々の名作を生み出し、映像化された作品もこれまた多い。
何が禁断の書たる所以なのかといえば、先生は異常ともいえる多作作家なのである。
月刊誌連載も数多く持っており、エッセイの中でも、月に600枚以上の原稿を執筆していると書かれていた。
これだけマシンのように原稿を書き倒しているとなると、当然ラッシュのように新刊が発行される。
一冊1,500~1,600円の新書をホイホイ購入するだけの経済的余裕などなく、書店で平積みされている先生の新刊を見るたびに、歯噛みする思いでその場を立ち去る日々を送っている。
新書版は文庫落ち(文庫本の装丁で再発売されること)は最低でも1年は待たなければならず、自ずと未読の新刊がどんどん増える一方で、読みたいのに読めない葛藤と戦わねばならない。
自分が敬愛する作家先生の著書は、是が非でも購入して読むことを矜持としている。
故に読みたいのに読めない作品が、アマゾンの「欲しい物リスト」を埋めていくことになるのである。
だがしかし、もう我慢できなかった。
Kindle Unlimitedで読みたい本を10冊以上もリストに上げ、順次、必死になって読み耽る壮大な計画を立てていたにも関わらず、先生の新作、「特殊清掃人」をとうとう購入してしまったのである。
「特殊清掃人」というタイトルからして、なにやらただならぬ雰囲気を醸し出しており、読む前からワクワクが止まらない。
様々な理由で変死を遂げた人々の声なき声を、特殊清掃人がそっと耳を傾ける内容なのだろうか?
まだ目次しか見ていないので想像の域を超えないが、これだけで舌なめずりしてしまっている。
先生の文体は特徴があり、とてもシニカルな視点で世の中や人間を観察している。
そして何より、比喩表現が冷徹かつ的確で、新作を読むたび、こんな言い換えの表現があったのか!と、目からウロコがポロポロと何枚もこぼれ落ちる体験をさせてもらっている。
ブログで拙い文書を書いている自分ではあるが、文章表現のかなりの部分で先生の影響を受けていると思っている。(影響を受けていても、ちっとも先生のような唸るような表現はできていないのだが)
殺戮の協奏曲
祝祭のハングマン
まだ上記2冊を購入できていない。
なんとしてでもお小遣いをやりくりし、この2冊を早々に購入せねば、落ち着いてUnlimitedの本も読んではいられない。
梅雨が明けきる前にはなんとしても入手したいと思っている。
つまらない日記に付き合ってくれて、本当にありがとうございます。