急降下する筋力
15回1セット。
これが、現在の私の筋力の限界であり、同時に、気力の限界でもあることを如実に示している。
まさかこれほどまでに、加速度的な筋力の低下をまざまざと思い知らされるハメになるとは思っていなかった。
メタボであるがゆえ、貧弱なガリヒョロのおっさんより多少なりとも筋肉的なパワーは勝っているだろうという、淡い期待とハナクソのような自尊心は、木っ端微塵に吹き飛んでしまったのだ。
「力無きただのデブ」。
こんなどうしようもない、どうやったって認めたくない悲しい現実を、ハッキリとした定量的な数値で突きつけられてしまったのだ。自堕落で怠惰な生活にあぐらをかいていた己の筋力に、「マシントレーニングをこなせる回数」は無言でその衰えをリアルに突きつけてくる。
多少は陽が伸びてきたとはいえ、19時を過ぎれば、地平線は紫から漆黒の闇へと色を変える。
帰宅して何をトチ狂ったのか、夕食も摂らず、最寄りのスポーツジムのドアをくぐったのは20時少し過ぎ。
仕事中、帰宅途中の電車の中、イスに座ったときに雪崩のようにヘソに覆いかぶさる腹の贅肉。
コイツとはもう何十年の付き合いになるだろうか?
どんなに体調が悪かろうが、病気で入院して何日もマトモな食事が摂れなかろうが、いついかなる時でも私の腹に鎮座ましますこと40年以上。
浴室の鏡に映る私の姿は、遠いフランスから馳せ参じたミシュラン・マンと瓜二つ。
思い立ったが吉日、いや、余りの贅肉の量に恐怖した自分がスポーツジムにいるのである。
眼前には、多種多様な細い部位の筋肉を鍛えるマシンが並び、その後方には、有酸素運動を行うマシンがまた並ぶ。
既に遅い時間だというのにも関わらず、ジム内はかなりの人数が息を弾ませ、大量の汗をかいている。
皆一様にイヤホンを耳に装着し、スマホで音楽や動画を楽しみながら体を動かしているのだ。
力の限りやらねば!との思いに背中を押され、ランニングマシンのペダルに足を置き、勢いよくそれを漕ぎ始めた。
少しでもこの贅肉を落とすのだ、肉、この肉、脂肪だけで出来たこの醜い腹の肉を!
ランニングマシンで轟沈
20分・・・・・、たったの20分である。
20まで区切られた負荷強度を12程度にセットし、勢いよくペダルを漕ぎ始めたまでは良かったが、10分を超えた辺りから太ももがパンパンに張ってきてしまい、夕食を摂っていなかったことも手伝ってか、最後の5分は吐き気までもよおしてきたのだ。ペダルを回すが目も回る・・・・・。
「こりゃあかん(何故か関西弁)」。
意気込んで1時間程度の利用を目論んでいたランニングマシンだったが、3分の1にも満たない時間で漕ぐのを止めてしまった。
かの貴花田の引退会見での名台詞、「体力の限界!」に至ってしまったのである。
激しく高鳴る動悸。空腹によるものなのか、急激な運動によるものか判然としないフラつき。生まれたての子鹿のようにおぼつかない両足。滝のように止めどなく流れ落ちる汗。
ランニングマシンから転げるように降りた後は、ひたすらペットボトルから水分補給をし、息を整えるだけで精一杯だったのであった。
頑張っても15回
絶え絶えになる息を整え、次は筋肉を鍛えるマシントレーニングである。
ダイエットに必要になるのは、とにかく身体で一番大きな筋肉を鍛え、基礎代謝を上げることである!
とのお題目を盲目的に信じ、まずはレッグ・プレスにチャレンジ。
設定したウェイトは、自分の体重の30%程度である24Kgとした。
足の裏に全神経を集中し、太ももとふくらはぎに思いっきりのパワーを込め屈伸運動を繰り返す。
ランニングマシンで既に悲鳴を上げ始めている太ももと両膝からは、ギチギチと耳障りの悪い音が発生している。
今にも膝から焦げ臭いイヤな臭いが立ち込めてきそうな程、屈伸運動の回数が増えるたび、違和感だけが澱のように溜まっていく。
15回が限界だった。
その後も、身体の大きめな筋肉を鍛えるべく、レッグ・エクステンションやレッグ・カール、チェスト・プレス、ラットプルダウンをやってみるが、これも1セット15回をこなすのが精一杯だった。
しかも設定ウェイトはレッグ・プレス同様の25Kg。
足の筋肉と腕や胸、背中の筋肉を鍛える負荷設定が全く同じというのも、よくよく考えたらマヌケな話だ。
もうちょっと部位の筋肉量に沿った負荷設定をすべきである。
しかし、ランニングマシンを終えた段階でヘロヘロになってしまっては、細いことを考えるだけの身体的余裕など全く無く、ひたすら本能的にマシンを設定回数分だけこなすだけとなってしまったのだ。
最近ブログ更新が滞ってしまっていたのも、実はこの筋トレによる筋肉痛がひどく、帰宅後にPCに向かって文章を考えることが正直シンドかったからである。
今回のエントリーも、誰が見てもつまらない、何の毒にも薬にもならないような記事になってしまった。
大変申し訳なく思っております。
明日は三連休の初日。
まずはたるみきった身体に再度ムチ打つべく、またまたスポーツジムに向かう所存なのである。