2023年6月19日

もっとよく考えておけば

あの時、もっとよく考えておけば・・・・・。
何事においても思慮が足らず、後悔ばかりの多い人生を、飽きもせず半世紀以上送っている。

人生最大の買い物と言われる「家」。
これを新築するときほど、慎重に慎重を重ね、細心の注意を払ってことを進めなければならない。

まっさらな白紙に自分の理想とするマイホームを描いていくのは、これは、人生において何度も経験することの出来ない無上の喜びである。
平屋にするか、はたまた二階屋にするのか。
間取りはどのようにして、部屋割りや風呂やトイレの位置はどうするか?
考えだしたらキリがないのだが、家族の希望も聞き入れつつ、段々と我が家の設計図がはっきりとした輪郭を持って完成に近づいていく。
設計図に基づき、3Dで立体的に表現された我が家の完成図をフルカラーで印刷されたときなど、それをサカナにグイグイと晩酌が進んだのを覚えている。
予算のことや些末なことはすっかり頭から抜けてしまい、ただマイホームを建てるんだ!という妙なテンションのみで設計作業を進めていたことが思い出される。

だいだいの間取りと部屋数が決まると、後は内装についてアレコレと決めなければならないことが山のように出てくる。
壁紙や天井の色、コンセントの数と設置場所、窓のフレームや巾木の色、フローリングの材質、システムキッチンやIHコンロ、バスタブの色や形、鏡の取り付け位置、洗面台の種類・・・・・。
実際に新築するまで、一体何回、ハウスメーカーの担当者とコーディーネーターの元を訪れて打ち合わせをしたのか分からなくなるくらい通い詰めたものだ。

艱難辛苦の末に竣工を終え、そして、ウッカリしていたことに気づくものがある。
そのひとつがカーテンだ。
大型家電やソファなどの家具に気を取られて、家を引き渡されてしばらくしてから気がついた。
「隣のマンションからウチ、丸見えじゃん!」
カーテンレールは新築時に一緒に付いてくるものだと信じて疑っていなかったので、何も設置されていない四角い窓を見やってから、己の浅はかさにようやく気づいたのだ。
そういえば、ハウスメーカーの営業もカーテンについては完全別売りになっていると注意されたような気がする。
太陽光をたくさん家の中に取り込みたいからと、大きめの窓を何箇所も設置しており、四方八方から丸見え状態の家で、カーテン設置完了まで恥ずかしい思いをしながら一月ほど過ごした記憶が蘇った。

だが、一番のウッカリといえば「電動開閉式の雨戸」だ。

実際に家に設置している方はおわかりかと思うが、これが至極便利なシロモノなのだ。
雨戸を閉めるのにいちいち窓を開け、上からシャッター式の雨戸を引き下ろすだけの作業なのだが、これがまた地味に面倒なのだ。
夕方、急いで出かけなければならない用事ができたときなど、ボタンひとつで雨戸を閉める作業を勝手にやってくれる。
上記のアクションを窓の数だけやるのと、壁に設置したボタン一つで済むのとでは、面倒臭さが天と地ほども違ってくる。

何が失敗したかといえば、この電動開閉式の雨戸を一階にのみ設置したことなのである。

一つの窓にコレを設定するのに予算が一万円余計にかかることから、設計段階で二階には設置するのを止めたのである。
「また設置したければ後から付けられますから」と、ハウスメーカーの担当者は爽やかな笑顔でのたまい、そのまま、はいそうですかと受け入れてしまったのが運の尽きだった。

確かに、後から電動式に取り替えることは可能である、可能ではあるのだが・・・・・。
二階の雨戸にそれらを全て後付するのには、再び足場を組まなくてはならず、その足場の組み込み費用が三十万円以上かかるということを担当者は言ってくれなかった。

そういう大事なことは一番最初に言ってほしいのだ。
後出しジャンケンのように費用の話をされるのは卑怯の極みであるといえる。
だって、後からそんな三十万以上もする予算なんて出せっこないからだ。

あと何年か後、どうしたって外壁と屋根の修繕をやらなくてはならない。
その時は足場を組んでの修繕となる。
それまで電動開閉式のシャッターの設置は、お預けとなる。

もっとよく考えておけば・・・・・。
人生でそうそうチャンスのやってこない買い物ほど、こういうウッカリをやらかしがちなのである。
家を新築した友人からもっと詳しく話を聞いておけばよかったと、後悔しきりである。


つまらない日記に付き合ってくれて、本当にありがとうございます。

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