そりゃ言われるよ
いいい年して何やってんだ・・・・・。
この言葉が嫌いである。本当に嫌いだ。嫌悪している。
どのような人間関係においても、この一言を言われただけで激高してしまう自分がいる。それだけこの言葉を忌み嫌っている。大人げないとは重々承知しているのだが・・・・・。
多目的トイレなる公共性の高い密室で、数限りない淫行にふけったグルメ王。
SNSで知り合った一般女性とのオンライン飲み会の最中、我慢できずに下半身を丸出しにしてセクハラにおよんだ、高級牛肉を形容するかのようなコンビ名を持つ、第7世代お笑いコンビのボケ担当。おおよそ画面越しからの視姦(される方)しか期待できそうもないのだが、彼は一体何を求めそのような暴挙に打って出たのか、はたまた視姦されることでしか性的興奮を得られないヴァーチャルな性癖をもつ者なのか、それは私には分からない。
一般女性とのオンライン飲み会であるからして、その全てを録画されるであろうと想像できなかったのだろうか?人気お笑い芸人のプライベートな時間を独占するチャンスを獲得したのである。一般的な心理としては、その思い出をしっかりと記録に残しておこうと思うだろうし、それを友人にこっそり自慢したくもなったりするであろう。
その上での下半身丸出しである。自身の行動に対する危機意識の持ち方や、その管理が甘すぎると言わざるを得ない。
リベンジポルノが社会問題になっているこの時代、万が一、サウザンド・サニー号にその動画が乗船し、ルフィとともにネットという名の大海原を航海しはじめたとしたら・・・・・。ゴールド・ロジャーはこの世のすべてを手に入れたが、下半身丸出氏はお笑い界での全てを失ってしまうこと必至である。現に、文春砲が見事に炸裂したではないか。(それにしても文春砲の情報収集力のすさまじさは筆舌に尽くしがたい。次は俺か?と、ビクビクしている芸能人が多数いるのではないだろうか)
グルメ王はいかんともしがたいが、下半身丸出氏には今回のスキャンダルの波を乗り越え、お笑いのワン・ピースを求めて再び航海に出てほしいのだ。
今回のことは深く、深~く後悔して。
しかし、下半身丸出氏は27歳、グルメ王に至っては47歳である。
年齢や性別に関係なく、ありとあらゆる方向から来る罵詈雑言のオールレンジ攻撃を、ノーガード戦法で全身で受けるしか対処する術はないであろう。
「いい年こいて何やってんだ・・・・・」。この一言で吐き捨てられるだけのことをしてしまったのである。
今は「忍」の一時でやり過ごすしかあるまい。
じゃあ、いい年って何歳なんだよ
不倫やセクハラ、あおり運転、バカッターによる迷惑行為のSNS投稿など、日々発生する数多のスキャンダルや愚行について一言で総括しなさいと言われたら、やはり、「いい年こいて何やってんだよ・・・・・」に尽きると思うのだ。ある一定の年齢に達した人間が、おおよそ一般的には考えられない行動を取った場合、人はそれを非常識と呼ぶ。
常識をわきまえて行動するだけの、分別ある年齢には達しているでしょ?と非難されるのである。先のお笑い界の両名はこれにより一刀両断されても仕方なかろう。
公序良俗に反する行動を取ったならば、それは非常識であり糾弾されてしかるべきなのだ。その点については全く異論はない。自分が非難される側に回らぬよう、ハニー・トラップにだけは注意して生きていく所存だ。(誰も私にハニトラを仕掛けたりはしないだろうが、スキは見せてはならぬ)
しかし、これが個人的な趣味趣向となると話は別なのだ。
個人的に愛して止まないもの、人生の大半の時間を費やして熱中しているもの。それらについては、当人の年齢がいくつになったとしても、誰かに非難されるものでは決して無い。「いい年こいて」などと揶揄される覚えもないし、いわれもないのだ。
加齢による身体的な問題もあり、既に数年前に降りてはしまったが、私は40代前半までリッター・バイクに乗る中年ライダーであった。動体視力が落ち込んでしまっていたので、常に安全運転を心がけ、とにかく事故や怪我のないよう細心の注意を払って運転していた。仲間との楽しいツーリングや、訪れた先でのご当地グルメや酒を楽しむのを、無上の喜びとして謳歌していたのである。
だが、これを我が母は快く思ってはいなかったのである。
「いい年こいてバイクなんて・・・・・トットと降りなさい!危ないんだから」。
我が子を思う親心と承知はしている。全ては私を心配しているがゆえの発言なのだろうが、「いい年こいて○○」の禁断フレーズが出てくるともうダメなのだ。
「うっせ、うっせ!注意して運転してるし、無謀なスピードも出してねぇ!大丈夫なんだよ!」と、口うるさく就職することを催促する母親にイラつくニートの息子(35才)のように返答してしまう。
バイクに乗っててもいい年齢って、一体いくつなのだ!?
中学生時代に衝撃を受け、それ以降の人生を通じて愛して止まない音楽ジャンルがある。
激しく歪んだギターサウンドと、そこからピロピロと繰り出される、常人では到底弾きこなせないハイスピードでメロディックなソロ。ドラムとベースが織りなす地響きが如く刻まれるリズムとビート。そして天をも貫くばかりのハイトーン・ボイス。
そう、80年代に世界的に大流行となった音楽ジャンルと言えば、ハードロック/ヘビーメタルだ。
おおよそほぼ全ての年齢層の女性からは忌み嫌われ、ドライブデートのBGMでそれが流れようものなら、一瞬の躊躇もなくカーステのスイッチを切られる代わりに、逆に彼女方がガチ切れしてしまうという、ほとほと女性からの支持を取り付けることが出来なかったジャンルである。
数少ない歴代のステディたちも、愛して止まないこの音楽ジャンルを、私と同じように愛してくれる人はいなかったのである。
いい年こいてヘビメタ?もっと違うの聴きなよ。
「いい年こいて」だけでもNGワードなのに、さらに「ヘビメタ」と来たもんだ。
日本全国にいるヘッド・バンガーズ(ハードロック/ヘビーメタルを愛する者の総称)が最も忌み嫌う単語を、我がステディ達はその口から発したのである。
「ヘビメタじゃねぇ、ヘビーメタルって言えよ!俺の愛してる音楽をけなすんじゃねぇ!」と、何度となく愛車の中で壮絶な大喧嘩を繰り広げたか分からない。
ちなみに我がステディ達が愛していた、ホンのちょっとだけハードな音楽といえば、ほぼ満場一致でプリプリ(Princess Princess)であった。
こと音楽の趣味の違いというものは、かつてのベルリンの壁よりも高く、万里の長城よりも長いものだったのである。
ヘビメタヘビーメタルを聞いてていいのは何歳までなんだよ!
ヘビーメタルは、我が青春時代を彩りよく染め上げた心の賛美歌なのだ。
それは今でも変わること無く、私の生活の一部分として無くてはならないものとなっている。(ウォーキングのお供にハードロック・ヘビーメタルは欠かせない)
80年代に一斉を風靡したアメリカンバンドに「RATT」がいる。彼らの大ヒット曲である「Round and Round」が保険会社のTVCMに起用され、36年の歳月を経て再びヒットチャートに登ったというではないか。
ヘッドバンガーズの端くれとして、こんなに嬉しいことはない。
今でもこの曲のイントロを聞くと、縦ノリで頭を振り乱してしまう自分がいる。ついでに腹にタップリ付いた贅肉も縦に激しく揺れるのが悲しい。目をつぶれば、ステージで華麗に演奏する彼らの勇姿がはっきりと浮かぶ。
音楽はタイム・マシンだ。かつての自分、夢中になってそのバンドや曲を愛していた自分に、時を越えて再び遭わせてくれるのだ。こんな安上がりで手っ取り早いアンチ・エイジング法は他にはないと断言する。
自分の常識、世間の非常識。
たとえ世間が眉をひそめるような物を愛してしまったとしても、それがどんなに世間で受け入れられ難いものだったとしても、いつまでもいつまでも、自分が納得するまで愛し続ければ良いと思うのだ。年齢など関係ないではないか。
いい年こいたって結構。
時の流れや流行に乗っかり愛するものをコロコロと変えるより、いつまでも変わらぬ愛を織田哲郎のように歌い上げればよいのだ。
クレヨンしんちゃんの父、野原ひろしはこう言い放った。
「ひとりの女を愛せるなんてカッコいいじゃねぇか!!それをバカにするやつなんか気にするな!」と。
アニメの登場人物とは思えぬロックで胸アツになるセリフではないか。
私もこのままハードロック/ヘビーメタルを愛し続けようと思う。
それをバカにする我が妻など、全く気にしないで生きていこう。
お小遣いをもらえる時だけ、従順で忠実なる下僕になれば良いだけの話なのだ。