「魂の退職」を読んで

インパクトだらけの稲垣えみ子

遅ればせながら、稲垣えみさんの「魂の退職」を読了した。

そのタイトルにまずは心を鷲づかみにされたが、それよりも何よりも、著者である稲垣えみ子さんの強烈なキャラクターに度肝を抜かれた。

朝日新聞大阪本社・社会部デスク、週刊朝日の編集部を経て、2013年から朝日新聞論説委員として社説を執筆。
さらに、東日本大震災の原発事故を受け、かなり振り切った節電生活の実践ぶりを綴ったコラムを執筆。
それが話題になり、報道ステーションや情熱大陸などのTV番組出演も経験。

いやはや凄い。
経験年数だけがやたらと長い、仕事の能力は底辺レベルの私では恐れおののいてしまう。
もしお会いする機会があったとしても、まともに話すことも出来そうにない経歴の持ち主だ。

・・・・・そしてアフロである。
あまりにも唐突である。
アラフィフ女子が何を思ったのか、いきなりヘアスタイルをデビューしたての「小柳トム」へギヤチェンジしたのだ。

他にアフロ・ヘアで思い出すと言えば、戸川昌子か具志堅用高か?
はたまたマグマ大使のゴアくらいであろう。
見た目のインパクトで勝てるとしたら、あとはモヒカンくらいのものである。

ここまで肩書とルックスのギャップが激しい方もそういない。

日本社会は会社社会

本書で一番印象深かったのが下記の一説だ。

会社をいざ辞めることになり、「 ゆりかごから墓場 まで」 の完璧な安全装置を引き剝がされ、たった一人荒野に立つ。すると、たちまち 恐ろしい現実に気づく。
日本という荒野では、会社に所属していないと自動的 に「枠外」に置かれる仕組みになっているのだ。
不審者扱いされ、信用されず、暮らしを守るセーフティー ネットからも外れていく。  
日本社会とは、実は「 会社社会」なのであっ た!  
まさかの「 会社員にあらずんば 人にあらず」の国だったのである。

稲垣 えみ子. 魂の退社―会社を辞めるということ。

会社を辞めたいと考えている最中、真っ先に頭に浮かぶのは「今後の生活資金の問題」だけであろう。
それ以外は考えているようで実は考えていない。

本書を読むまで、会社組織に属していないデメリットがこれだけあるとは、正直認識できていなかった。

元気のよい50代のおっさんが、日中何もしないで街中をプラプラしていたら不審者と思われるだろう。
信用もされないだろう。
近所のコミュニティの輪にも入りにくくもなる。

「会社員」と言う肩書が、人並みの生活を送るための免罪符なのかも知れない。
これも、「退職」という実体験を経た先にたどり着いた事実だと思うのだ。

魂の退職

「退職」。
はやりそう簡単に行くはずはない。

退路を断ち、自分自身の人生に、しっかりと自分で責任を持つ覚悟が必要なのだ。
本書を通じ稲垣えみ子さんの魂の決意をひしひしと感じた。

果たして私に覚悟はあるか?
(まだ無いなぁ・・・・・)

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