「生きるって、なに?」を再読して

テンション下がる日曜日の午後

仕事やプライベートで上手くいかないことが続き、週末だと言うのになんとなく気分がアガらなくなる。
明日からの仕事を考え、昼間から気分は「黄昏タイム」に入ってしまった時など、まだまだ日曜日の残された時間はタップリあるというのにどうにもこうにもやるせなくなる。
心がスッポリ、エア・ポケットに入り込んでしまうのだ。

金曜日の夜、全てから開放され最高潮に達した高揚感も、時間が経つにつれデクレッシェンドしていく。
土曜日の夜から「黄昏タイム」は静かに忍び寄り、日曜日の昼間から猛威を奮って襲いかかってくるのだ。
これではいけない。
せっかくの貴重な休みの時間、なんとかもう一度テンションを上げてみようと色々試みる。

常套手段としてTVを見る。
ダメだ・・・・・。
日曜昼間のTV番組など、ゴルフ中継か、ドラマやバラエティ番組の再放送しかやっていない。
BS放送なら面白い番組がやっているかと思ったら、全チャンネルで通販番組しかやっておらず、危うくショップチャンネルで焦げつかないフライパンを衝動買いしてしまうところだった。

仕方なく再び地上波放送にチャンネルを合わせたところ、フジテレビで「ザ・ノンフィクション」が放送されていた。
放送当日、取り扱っていたテーマは「幼児虐待事件」。
我が子を虐待し、死に至らしめてしまった親の素顔をクローズ・アップする内容だった。
すっかり番組に引き込まれてしまい、エンディングテーマのメロディー「♪生きてぇ~る、生きているぅ~」が聞こえ始めると、テンションを上げるどころが地の底まで気分が落ちてしまった。
扱っているテーマがテーマだけに、色々と考えさせられてしまったのである。

「ザ・ノンフィクション」、素晴らしい番組なのだが、扱っているテーマが社会の暗部にスポットを当てる内容がほどんどなため、しっかりと心の準備をして臨まないとかなりの確率でヤラれる。
日曜午後、燦々と太陽の光が差し込むリビングにいながら、放送終了直後の空気の重さたるや筆舌に尽くしがたい。
何もかもをダークな世界に引き入れてしまうパワーがある。
注意して臨まねばならぬ。

サンサーラ

無条件の笑顔を見つめてみる

こんな、落ちるところまで落ちてしまった気分を上げるには、無条件の笑顔、邪心や邪推が1ミリも入る隙間もないくらいの澄み切った笑顔を見つめるに限る。

通勤電車やバスの中で、小さな赤ちゃんを連れたお母さんと遭遇する。
ここで赤ちゃんにギャン泣きされてしまっては辛い場面なのだが、赤ちゃんがニコニコとこちらを向いて笑顔を見せてくれた時など、思わずこちらも顔がほころんでしまう。
赤ちゃんに向かって声は出さず、「バァ~!」とヘン顔をして笑顔を誘う。
赤ちゃんもそれにつられて、手足をバタつかせながら嬉しそうに再び笑顔をこちらに送り返してくれる。
こんな微笑ましい、笑顔のチャッチボールが心和ませるのである。

人間という動物にだけ与えられた、笑うという行動。
これこそがオキシトシンを分泌させ、心に癒やしを与えてくれるようである。

生きるって、なに?

以前、たかのてるこさんの著書である、「逃げろ、生きろ、生きのびろ!」の感想を書かせていただいた。

その中で、彼女のもう一つのベスト・セラーである「生きるって、なに?」についても少しだけ言及させていただいている。
この本は人類最大の命題である、「生きること」について真正面からぶつかった名著である。
「逃げろ、生きろ、生きのびろ!」と同様、「生きること」について問いと答えがリレー形式で続いていく。

今回のように心が「黄昏タイム」にどっぷり浸かり、どうにもこうにも気分を上げることができない時、決まってこの本のページをめくっている。

「生きるってなに?」という問いから始まり、「生きるとは、むづかしいことを考えず、今をたのしむこと!」で締められている。
まさにその通りだな・・・・・とつくづく思う。
過去は変えられないし、これから先に起こるかどうかも分からないことに対して思い悩んでもしょうがない。
未来は分からないが故に不安でもあり楽しみでもあるのだが、今の私には不安材料のほうが多く、それが憂鬱や悩みの種を大きく育ててしまっているのだ。

「生きるってなに?」
「幸せになるってなに?」
質問の答えが現れると、また次の質問が現れる。
その合間に、彼女が世界を旅して撮影した様々な写真が掲載されている。
これらの写真に映っている人々、子供の写真が多いのだが、彼らが本当に素晴らしい笑顔なのである。
吸い込まれるような、見とれてしまうような純粋な笑顔の写真がページを飾っているのである。

児童労働や過酷な生活を強いられている子どもたちが世界ではたくさんいる。
決して裕福でなく、その日の生活をするのが精一杯な子供たち。
そんな子どもたちの笑顔が言っているのである、「むずかしいことなんて考えず、今を一生懸命愉しめば良いんだよ!」と。

癒やされる。
笑顔は人を無条件で幸せにしてくれるのだ。

明日の仕事を考え、眉間にシワを寄せてムスッとした顔を家族に向けていた。
この本を読み終わり、妻に笑いかけてみた。
精一杯の引きつった笑顔だった。

「なに、いきなり!気持ち悪い」。
軽くあしらわれた。
彼女にこそ、今こそこの良書を読ませるべきだ!と、心からそう思った。

タイトルとURLをコピーしました