現在、私の会社では内部監査が絶賛実施中だ。
「内部監査」とは読んで字のごとく、組織内部の人間による監査業務のことであり、組織の健全な運営と不正防止を目的として行われる。
今年もまた内部監査の季節がやってきたのだ。
経費処理や人事労務関係、情報セキュリティなど、日常の様々な業務内容がチェックされ、問題や課題がないか事細かに指摘・指導を受けるのだ。
忙しい業務のさなか2時間近くも拘束され、すっかり記憶の中から消え去ってしまったような、本当に些細な事務手続の資料のことまで、重箱の隅をつつくように、目を皿のようにしてチェックされる。
毎年のことながらウンザリする。
監査資料を作るだけでも手間なのに、ヒアリングの最中はネチネチと細かい部分の指摘(半分はイヤミ)を黙って聞かなければならない。また、指摘された問題箇所については、経緯のわかる詳細な資料を後日提出しなければならない。
これがまた二度手間で本当に面倒くさいのだ。
今年、私が監査対応を担当した業務は「人事労務」だ。
・サービス残業をさせていないか?
・パソコンに記録された出退勤の時刻と、実際に申請された勤怠情報と差異が発生していないか?
(わざわざパソコンのログと、勤怠情報とを突合せてチェックしているのだ!)
・月に1度は有給休暇を取得させているか?
・所属員の業務ローテーションや人財育成をどのように計画しているか?
・コミニュケーション活性化のために、どのような手段を講じているか?
・・・・・e.t.c.
書いているだけで吐き気がしてくる。
これらの質問事項によどみなく答えるべく、キチンと裏付けの取れた資料を作成するのだ。
これがどれだけ大変な作業かお分かりいただけるだろうか?内部監査は社内の一大イベントなので、通常の業務なんぞそっちのけで、このための資料作りが優先されるのだ。
先日、ようやく内部監査が終わった。
資料も作り、2時間近い対応もなんとか乗り切った。
今年は運良く、指摘事項や後日提出する資料の要求もなかった。
ホッと胸をなでおろした。
そんな中、部長から一通のメールが所属員に送信されてきた。
「現在、内部監査中であるため、上長からの指示がない限りは定時で帰るように!残業する場合は必ず申請をするように!」という内容だった。
監査期間中だからという一文にカチンときた。
監査期間中だからちゃんとしろ!っていうのは、その期間をやり過ごしたら後はどうでもいいのか?と、聞きたくなってしまう。
その場だけなんとかゴマかして、後はズブズブのぬるま湯状態。だから、サービス残業や無許可の休日出勤が後を絶たないのではないのか?だから、内部監査なんてものが必要になってくるんじゃないのか?
納得できないままで、その日は定時を迎えた。
部長からのメールが効いたのか、パラパラと帰り支度を始める人間が出てきた。
「いやぁ~うちの会社は定時になるってのに、ササっと帰り支度を始めるヤツがいないな!」
「残業は上司からの許可を得てからやってるんだろうな?」
部長よりもさらに偉い上長から、イヤミにも似た声が聞こえてくる。
内部監査期間中だからといって、取ってつけたようなこのセリフにさらにカチン!と来た。
「普段はおめぇらそんな事いわねぇじゃねぇか!こんな時ばっかり!!」
喉元まで出かかったが、ぐっと飲み込んで帰り支度を始めた。
こんな事でイライラするより、とっと帰宅してオフトゥンに入りたいのだ。
来年もまた内部監査があるのだろう。
更に面倒くさい外部監査もきっとある。
AIやら業務自動化がもっと進んで、絶対に不正やら規則違反ができないしくみが作れないだろうか?
あ、そうしたら人がダブついて、私なんかは肩たたきに遭ってしまうかもしれない。
う~ん・・・・・監査っていうのは必要悪なのか?
かなり複雑な心境の秋の夕方だった。