今回の台風はキツかった
台風のシーズンになると毎回、「大型で勢力の強い台風〇〇号が太平洋上で発生し、関東地方を直撃する恐れがあります」という例のヤツがTVのニュースで流れる。
そのたびに、
「どうせまた来る来る詐欺でしょ?」
「大騒ぎするだけして、近くをかすめてアッと言う間にどこかへ行っちゃうんでしょ?」
と、タカをくくっていた。
こういう私みたいなヤツが、実際の台風で一番最初に危険な目に逢うのだ。
自然災害をナメてはいけないのである。
今回の台風、前日が日曜日という事もあり、鉄道各社は早々に終電を早める決断をした。
賢明である。
ニュースでは不用意な外出を控えるよう促したり、イザと言うときのための備えをするよう繰り返し訴えていた。
(早めのスマホのフル充電は気づかなかった。イザと言うときにバッテリー切れではシャレにならない)
早まった終電により帰宅難民となり、途方に暮れている人たちがインタビューに答えている映像が流れる。
今回の台風が並々ならぬものであることを予感した。
翌朝。
起き抜けにTVを点けるや否や、首都圏の鉄道各社が始発から軒並み運休となっているとニュースが流れる。
よっぽどのことが無い限り止まらない新幹線でさえ、今回の台風の被害からは逃れることが出来なかったのである。
当然のごとく近隣地域の道路事情もひどい有り様で、主要幹線道路は大渋滞でピクリとも動かなかった。
普段、最寄り駅まで利用しているバス会社に問い合わせたが、時刻表通りの運行は全くできていないとの回答。
決めた。
昼近くまで電車が動かなかったら、今日は正当な理由を堂々と掲げ会社を休んでやる!
当然ほくそ笑んでいたのは言うまでもない。
そうは問屋が卸さない
ニタニタほくそ笑みながらニュース番組の交通情報をチェックしていたが、会社を休むための正当な理由に7時40分頃には早くも暗雲が垂れ込み始めた。
なんと、新幹線が早々に運転を開始したのだ。
やはり日本の大動脈である。
世界に誇る新幹線、ちょっとやそっとじゃビクともしない。
もぅ「凄い」の一言である。
もうちょっとゆっくり復旧作業しても良くない?、と思った私は不心得者である。
そこから時間は経過し、10時30分を過ぎるころには東京の主だった路線は運転を再開し始めたのだった。
このままではいけない。出社しなくてはならなくなる。
私は大いに焦った。
何故なら、今日はすっかり休むつもり満々で、Amazonプライムビデオで面白そうな映画を3本ほどチョイス済みだったからである。
もう心は南の島へ飛んでいく寸前だったのだ。今さらチケットの払い戻しは意地でもしたくない。
結局出社することに
鉄道各社の懸命な復旧作業の末、無事に11時を回るころには主要な路線が運転を再開した。
こうなってはダメである。
南の島への夢のチケットは払い戻しを余儀なくされたのだ。
しぶしぶスーツに着替えバス停に向かったが・・・・・。
だが、待てど暮らせど一向にバスが来ないのである。
あれから随分時間は経ったのだが、相変わらず幹線道路の渋滞は解消されていなかったのである。
台風一過の炎天下、30分以上微動だにせずバスを待つ地獄をご想像いただきたい。
もぅフラフラである。
頭から滝のように流れ落ちる汗を拭いながらバスを待つ。
後ろを見れば、同じようにフゥフゥ言いながら今や遅しとバスを待つ人の行列である。
暑かったのである、ひたすらに暑かったのである。
運転は再開しても
電車が運転を開始したと言っても、それは動き出しただけである。
通常ダイヤでの、通常の通勤風景を期待してもそれは無理な話である。
(数時間での運転再開は本当に凄い。鉄道会社には感謝しかない)
大きなターミナル駅では、駅へと入る電車が時間の待ち合わせをしていた。
ただでさえ乗り降りする人が多く時間がかかるため、どうしても次の電車は駅の外で待機せざるを得ない。
また駅に着いたら着いたで、今度はホームから改札へ向かう人でごった返している。
バス停で既に全エネルギーを消費してしまった私は、ホームに向かう無数の黒い人の頭を見たとたん、吐き気がしてきた。
「うぇ~・・・・・これ電車に乗れるの何分かかるんだろう?」と。
在宅勤務とサテライトオフィス
やっとの思いで会社に到着したのは、13時40分過ぎのことだった。
通勤だけで3時間近くかかったことになる。
いつもの3倍近い時間だ。
私の会社は在宅勤務制度があり、また数か所に点在するサテライト・オフィスが利用可能だ。
こんな自然災害の日だからこそ、これらの利用価値がグッと高まるのではないだろうか?
今日利用しなかったらいつ利用する?と声を大にして言いたいのだ。
ただ、在宅勤務やサテライト・オフィスを利用するには少々ハードルが高い。
利用にあたっては、まず上長から口頭やメールで一旦承認をもらい、それから正式に申請フローをシステムで回さなければならない。
これがいちいち手間がかかり、そんなの面倒くさいから出社しちまえ!になるのである。
勤務状況がわからないから、在宅勤務の利用に際してハードルが高いのは仕方がない。
理解もできる。
だた、こういう自然災害が発生したときはメールや電話の一本で承認してくれても良いではないか?
利用すべき機会があるのに利用しにくい。
これでは本末転倒である。
形ばかりではなく、もっと柔軟に、時間や体力を有効に使う手段として定着させて欲しいのである。
来年はオリンピック・イヤーである。
自然災害とは異なり、事前に競技開催地域周辺の混雑具合や渋滞は予想ができる。
もっと在宅勤務が利用しやすい雰囲気を作り、機会を増やすべきなのだ。
冷静に考えれば、通勤時間ほどもったいないものは無いのではないだろうか?
オリンピックを契機に、更なる「働き方改革」を加速して欲しいと思っている。