我々は果たしてHootersで幸せになれたのか?

断りたくないお誘い

「お久しぶりです。あれから5年ぶりくらいでしょうか?お客様を交え、また五郎さんとお会いしたいです。つきましてはみなさんとの思い出の場所、○○のHottersで今年一年の疲れを労い合おうではありませんか!」。

そんな魅惑的なお誘いがあったのは先週末だ。

本ブログにも何度か書かせていただいているが、私は会社組織主催の飲み会の一切を断っている。
とりあえず義理で誘われることは誘われるが、最近は不参加を表明しても何も言われることはなくなった。
これも、2年以上に渡り地道に断り続けてきた、断固としたブレない姿勢が功を奏したといえるだろう。
良いことである。
適当に調子を合わせヘラヘラと薄ら笑いを浮かべ、毒にも薬にもならない太鼓持ちトークを繰り広げ、安くもないが大して美味くもない酒と料理に大金を払い、貴重な時間を拘束される・・・・・。
拷問に近い集会から開放されたのである。

だが、苦楽をともにした仲間からのお誘いは別である。
今回は喜んで快諾させていただいた。
5分ぶりのHootersリベンジ。受けて立つ用意を整え、いざ出陣!と相成ったのである。

どこで待てばいいのだ?

定時のチャイムが鳴ったと同時に、脱兎のごとく会社を飛び出し山手線に乗り込んだ。
はやる気持ちを抑えられなかったのである。
超久しぶりの漢のイノセントワールドに向かうのだ、おのずと歩を早めてしまい、集合時間の30分前にはお店の前に到着してしまったのだ。

山手線の駅を5つ超えただけで、いつも見慣れている東京の景色がガラッと変わる。
ビジネス街と歓楽街との空気感の差がここまで明確に異なるのも面白い。
道行く人々の格好もまるで違う。
スーツ姿の人間より、夜のネオンに負けないくらいビビッドで鮮やかなドレスや、艶やかな着物を着た女性の数が圧倒的に目立ってきている。
クリスマスイルミネーションに彩られた街並みに、フワフワと夜の蝶が飛び交い、それに群がるようにダークカラーのコートを着たビジネスマンが行き交う。
モノクロのビジネス街とは打って変わり、街が一斉に色彩という空気を呼吸しているようだ。

歓楽街を包み込む上空からの冷たい空気は、街や人の喧騒を飲み込み、自分の足音だけがリアルに耳元に届く。

デカデカと壁一面に掲げられた「Hooters」の看板。
白とオレンジのコントラストがいかにもアメリカンな配色で目に鮮やかである。
集合時間は19時。
今は18時40分を経過したばかりである。まだまだ時間には余裕がる。
寒空の中待っているのも心もとないのだが、それよりも何よりも、お店の前で一人待つというのがかなり気恥ずかしい。

「これからHootersで乱痴気騒ぎのノリノリのノリスケ状態になるぜぇ~!」と、自らプラカードを掲げて宣言しているうような気になる。
また、通りの向こう側では、彼氏との待ち合わせの最中とおぼしき20代後半の小柄な女性が、さっきから携帯の画面とこちらを交互にガン見しているのも、更に気恥ずかしさを増長させた。
「うわぁ~、おじさんこれからお楽しみなんだぁ」と、目で殺されているようだ。

アラフィフは繊細で被害妄想が強い。
これ以上の熱視線による視殺に耐えられなくなった私は、そそくさと一人階段を駆け上がり、お店のドアを勢い良く開けた。
冷たい夜気に包まれた身体が、一気にムワっとする熱気に押し返されそうになった。

店内はクリスマス一色。だがギャルズ(死語)のコスチュームは健在だった

店内はコンセプト・カラーの白とオレンジで塗り固められていた。昔となんら佇まいは変わらない。
ただ一点違っていたのは、店内のあちこちがクリスマス・デコレーションで飾り立てられていたのである。
店内で流れているBGMももちろんクリスマス・ソングのオンパレードだ。

店の佇まい同様、Hootersギャルズもお馴染みの出で立ちだった。
煮玉子のような褐色の肌を包むのは、目に眩しい白いピッタリとしたTシャツ、お尻の下半分が出てしまっているかのようなオレンジのホットパンツ。
約5年ぶりの入店となるが、相変わらず目のやり場に困る。
120%ビジネスライクな笑顔をつくり、明るく元気に接客してくれるギャルズなのだが、どうしても直視できない。
こういう大人の社交場で、さり気なくスマートな立ち居振る舞いができない自分が情けないのだが、こればっかりは仕方がない。

「19時から予約を入れている○○なんですが」というと、すぐに店内奥のボックスシートに案内された。
見ると既に他のメンバーは揃っており、私を待っているようだった。

いよいよ始まる漢の宴

懐かしい・・・・・。
昔とちっとも変わらない3人の顔がテーブル席に並んでいた。
ウッチー : ギターとロックと酒を愛するナイスミドル。先日100キロマラソンを完走した強者。
アラチン : ウッチーの同僚。最近筋トレにハマっており、確かに見た目がワイルドになった。
クラやん : 凄腕業務コンサルタント。バイタリティーと能力の高さは眼を見張るものがある。
ウッチーとアラチンはお世話になったお客様。クラやんは一緒にサブシステムを担当させてもらった。

挨拶と近況報告が終わると同時に宴のスタートとなった。

ビール、ZIMA、ハイボール。各々がオーダーしたお酒が運ばれ乾杯を済ませると、次は怒涛のごとく食べ物が運ばれてきた。
これがまたアメリカンなお店を象徴するような揚げ物のオンパレード。
以下が当日提供されたコースのフードメニューとなる。

(1)ピクルスのフライ
   スライスピクルスをカラッと揚げた一品。お店の人気メニューらしい。
(2)バッファローチキンディップ
   トルティアチップスを濃厚なチーズディップでいただく。結構なパンチ力。
(3)チキンウィング
   いわゆる手羽先唐揚げ。これまた濃厚なブルーチーズソースで。
(4)サラダ
   唯一の野菜メニュー。スパイシーでパンチの効いた料理が続いたのでちょうどよい箸休め。
(5)ムール貝ガーリックソテー
   ガーリックソテーされたムール貝を、これまた濃厚なソースで。(濃厚なソース、いい加減飽きる)
   ムール貝が苦手なので一個も食べれず。
(6)スライスステーキとガーリックライス
   締めはガッツリと肉とご飯。低糖質ダイエット中なのでご飯は食べず。
(7)デザート
   見た目もかわいらしいプチケーキが2つ。

店内で写真撮影などしようものなら、怖いボディーガードのお兄さんにバックヤードに連行されそうだったので、隠れて2枚しか撮影できななかった。(ギャルズの撮影ももちろんできなかった)
お許しいただきたい。

ピクルスのフライ。
初めて食べたメニュー。味はしっかりピクルスだったが、かなり美味かった。
バッファローチキンディップ。
ディップソースが濃厚かつスパイシー。

そして涙のショータイム~終焉へ

お店の接客システムなのだと思うが、店内をいくつかのブロックに分け、それぞれを担当するギャルが決まっているようだった。

今回、我々が座ったボックスシートのブロックを担当していたギャル。
化粧は濃いが笑顔はかわいい。まずますだ。ちょっと渡辺直美嬢に似ている。
テキパキとお酒や食べ物を途切れることなく提供してくれるタイミングは、バイトといえどプロの対応を見せてくれた。とても満足している。

バストもとても大きかった。いや、大きすぎた。
ピチピチのTシャツの中に、かなり大振りなメロンを無理やり押し込んだような膨らみを見せている。谷間にはTVのリモコンなど簡単に入れてしまえるようだった。
それくらい凶暴なバストの持ち主だったのだ。

だが・・・・・。
大きいのはバストだけではなかった。
バストと同じ質量を持つ肉塊が、その下、更に二段並んでいたのだった。
・・・・・。まるでミシュランマンのようなお腹。
顔もかわいい、凶暴なバストもお持ちだ。
だが、そのお腹はいかんともし難い。
テーブルを見ると、みなが伏し目がちになっている。
考えていることは同じなのだろう。
ちなみに、隣のブロックを担当していたギャルはとてつもないスタイルをしていた。
股下90センチはあろうかという長くて細い足。これまたはち切れんばかりのバスト。
そして、エキゾチックな彫りの深い美しい顔立ち。
まるで絵画から抜け出てきたような、店内の喧騒をかき消してしまうくらいの美しさだったのだ。

「あ~・・・・・あっちの子のほうが良かったな」と、ウッチーがポツリと呟く。
みな黙っていた。

いきなり店内が暗転し、けたたましくボリュームを上げたクリスマスソングが流れ出すと、ギャルがそれぞれ担当しているブロックに、チアリーダーボンボンを両手に現れた。
そう、ショータイムが始まったのだ。
ダンサブルにアレンジされたクリスマスソングのリズムとともに、ボンボンを振り上げチアダンスを繰り広げる。
小さくジャンプをすれば、とうぜんの如く凶暴メロンが目の前でユッサユサと揺れるのだ。
ついでにお腹のお肉も・・・・・。
弾ける笑顔と「イエ~イ!」の掛け声。
だが、我々のテーブルはその掛け声に誰も応えられなかった。

みなの視線は、となりのブロックを担当している超絶美人に注がれていたのだ。
すまぬ直美。君も十分魅力的だが、となりのブロックの彼女には勝てぬ。

そうこうしているうちに時間となり(キャバクラか?)、我々は興奮冷めやらぬまま店を後にした。
節操のない店で節操のある、清く正しい2019年の忘年会は終りを迎えたのだ。
ご苦労さまでした。

その後アラチンは飲み直す!といって、夜のネオンに一人消えていった。
直美嬢の凶悪メロンを見てしまった後である、漢のイノセントワールドではなく、漢のネイキッドワールドに誘われてしまったのかもしれない。

Hooters。きっとまた5年後くらいに行くかもしれない。
いや、きっともう行けないだろう・・・・・。
そんな事を思いつつ、また山手線に乗り込んだ。

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