やっぱり存在していた「身代わり残業」の実態

今年(2019年)4月より施行された「働き方改革」。
大企業はもとより、中小企業にとっても無視するわけにはいかない、重要な経営課題の一環として認知されつつある。

男性社員の積極的な育児休暇取得。
テレワークを導入した、場所と時間を選ばないフレキシブルな働き方。
80時間/月以上の残業禁止。
定時退勤日設定による、オンとオフの効率的な切り替え。

良いことをザッと上げるとこのような感じになるのだろうが、この「働き方改革」、本当に全従業員がその恩恵にあずかっているのだろうか?

キーワードだけが独り歩き

「働き方改革」というキーワードだけが独り歩きをし、働き方の抜本的な解決にはほど遠い状態なのではないだろうか?
認知はされるようになったが、ほとんどその内容を理解しているとは思えないのである。

以下、ITメディアビジネスオンライン(2019年9月30日)の記事からの引用になるが、全体の86%は「働き方改革」という単語は認識しているのだが、内容を理解をしているのは43%程度、半分にも満たないというのである。

出典:ITメディアビジネスオンライン(2019年9月30日記事より)
出典:ITメディアビジネスオンライン(2019年9月30日記事より)

むしろ中間管理職の残業時間は増えている

かなり多くの会社で、下記のような「働き方改革」の対応を実施していると思う。
■とにかく非月俸者に残業をさせるな!
■残業は月に20時間までを死守せよ!
■有給休暇も月に1日は取得させよ!
非月俸者の働かせ方に対し、異常なまでに規制・抑制をしているのではないだろうか?

部下の残業を抑制し、有給休暇を積極的に消化させる方針に舵を切った結果、そのしわ寄せは中間管理職に来ている。
中間管理職は残業という概念が存在しないからだ。
やりきれない、足りない分の仕事については、中間管理職が必死になってそのカバーに回っている現状があると思われる。

また、残業時間に対しての虚偽報告もだんだんと巧妙になってきていると聞く。
ここまで来ると完全に確信犯だ。

結果、中間管理職の残業時間は減るどころか増える一方だ。

業務をこなしつつ面倒な事務仕事もやり、なおかつ部下のケアまでしなければならないのだ。

非月報者の7割以上が、月俸者への昇格を望んでいないという。
部下と上司との板挟みにあい、今まで以上の業務を当たり前のように消化しなければならないのだ。
心身ともに疲弊している中間管理職の姿を見て、進んで昇格したいと思う人間が少なくなるのも無理はない。

「働き方改革」ではなく、「働かせ方改革」を真剣に考えなければならない時期ではないだろうか?
これではいつまで経っても、海外との生産性の格差はなくならないと思うのだ。

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